M3-2026春 入手物感想

これはなに?

このページは、2026/4/26のM3-2026春に参加して、後に各種SNSで入手した物の感想を書いていたのを、
体裁だけこのページ用にまとめて再掲したものです。
以下のセクションから文体が大きく変わりますが、文章そのものは元の感想文の最終バージョン(2026/5/10)から手を加えていません
下記で繰り返す通り推敲不十分なところは多いですが、あらかじめご容赦ください。
また、文責はナイラーにありますが、これはサークル「アルミビジョン」の人間としてではなく、一リスナーとしての率直な感想を書いたものです
少なくとも自らの利益のため他者を貶める目的で書いたのではないということ、ご理解頂いた上でご覧ください。

序文


この文章群は、私ナイラーが2026/4/26の春M3で入手した楽曲/作品の感想を殴り書きしたものである。
当然ながら私の主観や忖度が多分に入っていることを念頭にお読みいただきたい。
あわせて、文章の書き方の都合文中に出てくる人物や団体の名前には敬称はつけていない。
また他作業の合間に書き進めているものなので、文体統一や推敲など不十分になることが予想される。読む前にあらかじめこれらをご了承いただきたく思う。

前回のM3に引き続き、今回も入手物を聴いた感想を書いていこうと思う。

前シーズンのサークル参加・一般参加の双方が増えたあと、しばらくして今シーズンのM3の参加サークル募集があった。
今回、同日にニコニコ超会議内で開催された超VOC@LOiD M@STER(以下「超ボーマス」)が開催されることが確定していたので、
歌声合成界隈はそちらを選択して多少は混雑の緩和がなされると予想していたのだが、
実際にはダブル落ち・サークル参加自体の落選は引き続き発生しており、書類不備を抜いてもなお希望する全員が参加できなくなってしまった厳しい状況は続いている。
後にデジタルカタログが公開されたあたりで少し歌声合成系のサークルを適当に調べてみたところ、
・超ボーマスには1日目のみ参加し、2日目は出ずにM3に出たサークル
・超ボーマス1/2日目の両方に参加しつつ、別の売り子を立ててM3に出たサークル
が存在しており、超ボーマスとの日程被りによる分散はほぼ起きていないと考えていいレベルと思われる。
また、Xのハッシュタグ検索で見る限り一般参加側も同様に「1日目は超ボーマス、2日目はM3」あるいは「2日目に超ボーマスとM3をはしご」というパターンで参加していた層もいた。

そのような状況で、公式発表こそまだないが体感動員数は前シーズン以上になっていた感覚があり、
定性的な事実として今年は一般参加者が前回以上に厳しい入場規制をかけられたということを確認している。
(具体的には一般参加者には、TRC正面から第一展示場に入るルートが今シーズンは閉会まで開放されなかった。)
キャパシティ超過の問題がさらに深刻にはなっているが、すでに次回M3も引き続きTRC開催だということが確定している。一方スタッフ不足も無視できないレベルになってきている。
このままM3はまず参加するのが難しいかつてのコミケのようになっていくのだろうか。

あわせて、政経関連の話題なので詳細は控えるが、
今回M3とほぼ同時のタイミングでCDや印刷物など、部材自体が値上げしたりそもそも入手困難だったりという状況になっている。
これが根本原因に影響を受けているのかそれとも便乗値上げなのかはここでは追求しないが、
なんにせよ秋シーズンはサークル参加側も一般参加側もこの影響前提の活動をしないといけないだろう。
「潮目」は多い。

凡例

以下、各作品は次のような凡例で記号を付けている。
 通常の作品
 筆者とこのM3以前に明確な接点がある人の作品
 筆者が参加している作品

各作品の感想

◎4/28聴取分

○Bigbird - 迷える子羊はパンを喰む
様々なボーカリストに楽曲を提供しているオッカの、小品的な性質をもったインスト集。
歌モノ楽曲でもゴシック~キッチュな世界観を持ち味としているが、インストとなり、ボーカルという制限から解き放たれたことで、
さらに深遠でテクニカルな空間世界が味わえた。
また、ブックレットにはサイドストーリーが記載されており、これを踏まえてもう一周聴けばまた別の印象が味わえるかもしれない。(筆者は何も考えずに初回の時点で先に読んでしまったが……)

□living area records - recycle box
BMS作家ポリセのアルバム。
主にボカコレなどで発表していた、歌声合成(UTAU)を使った楽曲のリメイクで構成されている。
筆者は氏の曲については近年のピアノ+ドラムの素朴かつキレのあるインストの印象が強かったのだが、
このアルバムだとUTAUのエンジンの都合でカットアップっぽくなる歌声に合わせたエレクトロニカ感あるアレンジがされた曲が多く、
氏の知らない一面を聴けたと感じた。

○SceneFromGoreGirls - Alice of Mercy EP
SceneFromGoreGirlsの新作。近作は歌声合成をフィーチャーした作品が続いていたが、
今回久しぶりにエピック~トレーラーサウンド系の作品となった。
過去作と比べて一際暗く物々しい音使いで、どことなく何らかの先細った使命を背負わされていそうな、
そういう昏き魂のうごめきを感じた。

◎4/29聴取分

○フーリンキャットマーク - GREATEST CATS 2
アキシブ系音楽ユニット、フーリンキャットマークのオリジナル曲ベストその2。
前回がボーカル2人体制だった時代(ロケットティーンエイジャー~コンペイトウ)までだったので、
今回は順当にその後正規のボーカルが鳴沙だけになったデリケートベリキュート~今回M3の2年前にリリースされたHeavenly Gameまでの楽曲を収録している。
この時期の、特にフェティッシュバニーガール以降は負担軽減も兼ねてゲストボーカルを呼んでいたりしたのだが、それらの収録はなかった。
個人的には「ふるしあんて」と「刹那のティンカーベル」欲しかったなあと思う節がある。
聴いた限りPV後出し曲を除き初リリースからの再録は特にないと思うが、
ライバルはストロベリーまでの楽曲はマスタリングが変わってかなり聴きやすくなった感じがある。
また、同時にこの時期を振り返るメモリアルブックが同時に頒布されており、それを見ながらこのアルバムを聴くことで理解度が大分変ってくると思う。

○Groove Channel Offline - GrooveChannelConection-01
マシンライブを主題としたYouTuber「SHINGA Groove Connection」の企画で作成されたテクノ系のコンピアルバム。
筆者はまだチャンネル名が「SHINGA Instant Techno」だった時代の機材レビュー動画は拝見したことがあるが、
恥ずかしながらチャンネル名が変わったことも、こういう作曲系の企画をやっていたことも把握していなかった。
曲の傾向は上述した通りマシンライブ系の匂いを感じるテクノ。
やや初期衝動感が強い曲もいくらかあるが、M3という場でDTMとはまた違った電子音楽の形を提示していることに意味があるのだと思う。

◎4/30聴取分

○Citrus Tones - Parallax
Alf-Zeroのソロ作品。近年の全体的な傾向に合わせて、上手く尺を絞り込んだドラムンベースが収録されている。
狭義のEDM的な構造で様々なドラムンベースのサブジャンルをまとめて聴けるので、
ドラムンベースのサブジャンル系統樹を掘るとっかかりとしてはいい作品だと思った。

○ガトリングチワワch - 温もりCD
かつてGick-Shackというチップチューンユニットをやっていたうちの片割れ、ガトリングチワワのデモ集。
ユニット時代とは打って変わってラップ系のポップスメインとなっている。
コミックソング的なリリック回しは健在だが、どことなくシニカルな匂いが強くなった気もして、
何か、文章にしてはいけないが感じ取るものがある。

○黒々KUROGURO - 諸悪の根源 -The Root of All Evil-
完全新規で購入したサークルの一つ。
「ドラム以外全パート製作」とのことだが、ドラム演奏でクレジットがあるわけではないので、
おそらくドラムだけ打ち込みで後は生演奏・生歌唱という意味だろうか。
確かメタル島にブースがあったサークルで、実際かなりメタル寄りのHRHM系楽曲が収録されている。
すべて一人で回しているからこその細かい音作りが光る作品。

◎5/1聴取分

□Wavebird recordings - Hardnation Ravers
前回筆者サークルの売り子をやってもらったMiYAjYの新譜。(お世話になりました)
近年はHYPERTRANCEの印象が強かったり、実際今回別所でHYPERTRANCEコンピに参加していたりした氏だが、
過去にFREEFORMに傾倒していた時期もあって、久しぶりにそういう気分だったのか今回はハードコア系のEPを出していた。
そもそもBPMが早いジャンルなのもあって直近とは違うスピード感の出し方ではあるが、
細部に氏の味が間違いなくあって、やはりこの人の作品なのだなあとわかる。
おまけステッカーのセルフリミックスも原型保ちつつガラッと印象変わってていい感じ。

○The box of Juka_Box - レムの撚糸
BMS作家Juka_Boxの3枚目のCD。直近のBMSイベントで公開した楽曲+αを収録している。
氏は近年のBMSイベントで各賞を獲得しており、そう聞くと所謂音ゲーチックでトロピカルハピネスな曲が多いのかと思うかもしれないが、
実際には1曲1曲が独立にコンセプチュアルで、ひたすらディープに沈み込む感覚を味わう曲であった。
音ゲーシミュでしっかり芯を持って活動してると順当に作品詰めるだけでベスト盤が出来上がっちゃうんだなあ、と、
過去に筆者が似たようなことやろうとして結局ただのサントラができたのを思い出しつつ感じていた。

◎5/2聴取分

□takio's music - Memorial Azure
近年の商業音楽ゲームで「音ゲーナイズしたポストロック」を武器に次々と楽曲が収録されているTAKIOのアルバム。
各種音ゲー曲のロングや書き下ろしのインストももちろん嬉しいが、
個人的に一番良いなと思ったのが本人歌唱の曲が2曲(1曲はセルフカバー)入っていること。
普段ボーカル依頼したり歌声合成を使ってる音ゲーコンポーザーの本人歌唱ってどうにも作者もネタがちに作ってたり、本気でやってもやはりネタ扱いされがちなのだが、
「本気で歌って」「本気で作り込んで」「本気で聴けるものになってる」のはただただすごい。
この人音回りでできないことあるんだろうか。

○Endorfin. - Cirro.Strato
言わずと知れたポップユニットEndorfin.の新作。
古参ファンは2018年の「Alt.Strato」という作品を覚えているかもしれないが、夏モチーフであること以外はあまり共通点はない。
ちなみに"Cirro"の部分は巻層雲(シロストラタス)のことだろう。
この雲自体が基本的に天候が悪化するサインということを踏まえてなのか、カラっと爽やかな夏らしいオケに対して歌詞はやや陰鬱さを帯びている。
一夏の超自然存在との出会いは夏の間に強制終了してしまう。そういうことなのだろう。

○S2TB Recordings - The 4th EP 3
beatmaniaⅡDX 4th styleで同時に採用されたことをきっかけに結成されたkors kとRyu☆のユニットThe 4thのEP。
1曲目の新曲がお互いの楽曲のパーツをガチャガチャと詰め込みつつTORIENAのボーカルで方向性をまとめたような造りで、
そう書くと全体的に暴れてるというかケンカしてるような印象を与えるかもしれないが、
たぶんお二人のことを知らない人に聴かせるとそのあたりのパーツがあることに一切気づかれないくらいには自然に溶け込んでいる。
知ってるからわかるというか。こういうことできるあたりが、やはりベテランなのだなあ、と感じた。
他2曲はお互いの楽曲の交換リミックスとそれぞれのゲーム版。特徴的な名義でのリミックスなのでこれも面白い曲になっている。

□MobKinako - Velxity
MobKinakoの1stアルバム。そういえばこの人単独でサークル参加したの初めてだった、各所で拝見していたのでそんな気はしなかったが。
今回合体配置していたなれう。の創作「EGOEND」をテーマにした楽曲の再録をメインに、
音ゲーアートコア系を持ち味とする氏だけあってクラシカル~エモーショナルなメロディのインスト楽曲が詰め込まれている。
流麗なアートコアと混ぜても世界感崩さないままで暴れ系の楽曲もできるのがすごい強みだな、と思った。

○ガトリングチワワch - 犬人間
4/30聴取分のデモCDで収録されていた楽曲の完成版を含む作品。
年を食ってしまったオタクの悲哀を叫ぶリリックを淡々と歌っていくのに、筆者は妙な共感を覚えてしまった。
あとシンプルなトラックが良いなと思った。GickShack時代と比べてかなり音数が減っているのだが、その分曲の各所が研ぎ澄まされていると感じた。

○若草レコード - WE ALL HIT GENERATE
ずっとテクノを作り続けているmugenkidouによる、生成AIで生成した音声をサンプリングして再構成した実験作。
ここでは生成AIの是非については語らないが、そういうことを一切気にせずに使いたいように使うのが実に原初のクラブミュージック的だなとは感じた。
作品としては「架空のモキュメンタリーを出させて声ネタとして再利用」「シティポップを出させて原型がないまで切り刻む」など、
少なくとも出したままをそのままポンと置いた曲はないように聴こえる。
ここまで人力的な手法で徹底的に切り刻んで足してやれば作品として自立するのだなと思ったのと同時に、AIポン出しそのままがマトモな作品になり得ないという、
YouTubeホームによく上がってくるような一部の層に対してはある意味残酷な真実も再確認できた。

◇OX-project - Limit Breaker 23 ΣNIGMA
(筆者参加曲 : Disc3 Tr08 ナイラー feat. Ninezero - オーヒア)
毎度恒例、会場焼きコンピ。
今回は「謎」がテーマということで、楽曲内にトリッキーなギミックを使ったり、曲全体を謎解きゲームに使ったりした曲がいくらか見受けられた。
そういう要素がない曲も、テーマに沿ってか今回は全体的にダークな雰囲気に寄った気がしている。
筆者の観測している狭い範囲では、同人活動で謎解き/ARGを仕込むのが最近流行ってきている感じで(これ以降に2作ほど出てくる予定)、
図らずもその流れと共鳴してるのかな、と思った。
それを1週間程度の納期でやってくる人たちの才能はすごいというか、おそろしいというか。

◎5/3聴取分

○dat file records. - PARAOUT.9
dat file recordsの餅屋による、すでに9作を数える定番シリーズとなったドラムンベースコンピ。
ドラムンベースの中でも全体的にEDMっぽい出音に接近したトラック、ないし一部は明確にドラムステップのトラックが収録されている。
サブジャンルまで深堀したときに選り好みのようなものが出るのは昔からどのジャンルでもそうだとは思うのだが、
ここまで振り切ってサウンドの方向性を揃えているのは気持ちよさがある。

○el ma Riu - UL Re:membrance
近年はVRchatでのライブ活動をメインとしているel ma Riuの久々のCD作品。
現在絶版になっている作品からピックアップした4曲をリメイクしている。だから"Re:membrance"。
以前の同趣旨の作品の時と違っておそらく筆者は全曲原作未聴のはずだが、
聴いていると「確かに最近はこういう音使いしていないな」という、存在しない懐かしさを感じる部分がある。

□華力発電所 - Amulet
liquid1224とYazavvaによるアシッド系のEP。
この座組はM3より前の期間に日本のアシッドテクノ/ハウスメインのレーベルAcidworxからEPをリリースしており、今回はliquid1224のサークルからのリリースとなる。
どちらかというと単音のビキビキ感を重視したアシッドテクノ寄りの方向性で、
ベースシーケンスの面白さとリズム構築の面白さで各曲約7分があっという間に溶けてしまう良い作品だった。

○Bigbird - Occolle2 -Okka Works Collection2-
オッカが自身のサークルBigbird以外で、主にボーカリスト向けの依頼で書いた楽曲のワークスベスト。
こういう作品は大体の場合依頼元のカラーに合わせて曲調が変わるので1枚の中で作風があちこち行くものなのだが、
この作品の場合はどの曲も大筋「ファンタジーっけがあって」「やや大正ロマン的な」「ポップス」という点で共通しており、
統一感のある感じで聴けると同時に、作家としてのオッカのパブリックイメージをなんとなく読み取れるようになっている。

◎5/4聴取分

□おいでませ、マンダーランド - Rhyuze
MaNDAR∀の過去作「Bezel/CROWN」の世界観を受け継いだアルバム。
今回はタイトル分けこそされていないが、歌モノメインのTr.1~7とインストメインのTr.8~15の二部構成となっている。
氏の高校生時代の総決算という側面もあり、ブレイクコア、小編成インスト、エレクトロニカ、歌モノ、ネオ渋谷系が混然となりつつも、
夏休みの終わりまで時計の針が容赦なく動くように、終わり・果てに向かって行っている。

○フーリンキャットマーク - マシュマノイドバスストップ
ベスト盤と同時にリリースされた、フーリンキャットマークのオリジナル新作。
大きく「乗り物」モチーフで統一されていて、所謂シティポップ的なカーステレオ映えする楽曲が多め。
近年サークルの正ボーカル鳴沙の歌唱曲が全体的にダウナーめな傾向だったが、
ここで思いっきりハイテンションな曲を詰め込んでくれるのはファンとして嬉しい。

□おいでませ、マンダーランド - Phonophobia EP
「Bezel/CROWN」と「Rhyuze」の両方を持っている人向けのおまけ。
全トラック合わせて5分足らずの作品ではあるが、一連の作品の真の完結編といった趣。

○The box of Juka_Box - Full Flavor Syndrome
Juka_Boxの新譜購入特典としてもらったもので、C.milerとの合作曲が収録されている。
"Full Flavor"というのは音楽ゲームの界隈特有のジャンルで……というか、1曲中に色々なジャンルを駆け足に切り替えていくメドレーのような曲作りをした曲が多かった時期があり、
それをジャンルとしてカテゴライズしたのがFull Flavorという認識。
なので具体的にどのジャンルを使うかというのは各作者の裁量次第みたいなところがある。
ガチャガチャとハイペースで出音が変わり続けるのは、やはりいつになっても楽しさがある。

○ハッカドロップ。 - ミスティック・ブルーの展示録
奇妙な博物館?図書館?の収蔵物をバックストーリーとした、紗智のボーカルアルバム。
全体的にファンタジー的な匂いを纏ってはいるが各曲の方向性はまるで違い、そのあたりも博物館の常設展示を思わせるかも。
独特の空気感のボーカルとの相乗効果で、短時間で複数の異世界をめぐるような体験ができる。
ちなみに、このレビューを見て欲しくなった読者向けの注意だが、外装スリーブとジュエルケースのクリアランスがかなり厳しく、 取り出し時に無理な力をかける必要があり最悪どちらかを傷つけてしまう可能性がある(筆者はスリーブのほうをやってしまった)。
サークル側でも認知済みなので2版以降があれば改善されているかもしれないが、せっかくのよい装丁なので気を付けて取り扱ってほしい。

◎5/5聴取分

○Syzygy - MiNiMa vol.1
今回筆者のお隣だったサークルの作品。
たぶんサークルの初作品で各メンバーがほぼ1曲ずつ出し合ったコンピアルバムといった様子。
タイトルの通りminimal、小規模だったり繰り返しが多かったりする曲が多く、
そこに現状のサークルの方向性なのか所謂Future系のジャンルが混ぜ込まれている。
Future系ジャンルってどうしてもキラキラと音数が多くてミニマルにするのは難しいのでは?という気がするかもしれないが、
最低限Future系だとわかるような骨子の音に絞り込んで鳴らす(ここの取捨選択もかなりよい)ことで、ミニマルらしい「音と音の隙間」を作り出している。
広く隙間のある空間のFuture系、このサークルの唯一無二の武器ではなかろうか。

○MX-MUSIX - To-Ho-24H vol.1
主にニコニコ動画で所謂「ニコニコメドレー」と呼ばれるタイプのインストアレンジメドレーを多数公開しているえむくろの東方アレンジ作品。
(氏はかなり精力的に活動されている方なのでM3に出てるのをずっと見逃してた……と思ったら今回7~8年ぶりの参加だったらしい)
Tr.02とTr.06がタイトルで非常にわかりやすいが、どうも他のトラックも含めて各曲それぞれ、
クレジットに記載のある東方ProjectのBGM以外にもう一作品、往年のアーケードゲームを元ネタに持っているような気がした。
気づける人は気づくとニヤリとできるだろうし、その混ぜ込み方を聴くと氏が自身のやってきたことを有効活用してるなあと思った。

□MobKinako - Azure
5/2聴取分に記載している1stアルバムと同時にリリースされた、MobKinakoのDLカード形式のシングル。
藍、ないし海をモチーフとした、透明感を纏った音色の曲が収録されている。
これをハイスピードな曲でも問題なく表現できるのが氏のふだんアートコアを作っている蓄積なのだろうなと思う。

□ろくななそふと - Fiction Wave 2026
「架空のエロゲー主題歌」を複数タイトル分収録した、「架空のエロゲー会社が2~3年に1度出す主題歌ベスト」。
あの辺とかその辺とかのエロゲー製作会社はそういうのよく出してたんですよ、筆者エロゲーの界隈通ってないけどそれでも認知してる程度には。
先に各タイトルのゲームサイズを置いてからフルバージョンを置いてるあたりが解像度高め。
一部曲で「本職の人」をボーカルとして呼んだあたり、本気度がうかがえる。

◇OX-project - PATCHNOTES: Arcveil Frontier
(筆者参加曲 : ver.3.1.0 ナイラー - Over Spilt MANA)
「架空のMMORPGのサービス終了後のファンジン」という体で作られたコンピレーションアルバム。
そういう体裁なので折本というかリーフレットというか、そういう形の紙で頒布されており、 サービス開始から終了までの(存在しない)歴史が一通り網羅されている。
筆者のようにゲームとしてのBGMを作った参加者もいれば、事件の重大性それ自体を曲であらわした参加者もおり、 MMORPG風というイメージに反して結構バラエティ豊かなアルバムとなっていた。

◎5/6聴取分

□おひるね音楽部 - 明日世界が眠るなら
前名義も含めて、基本的に現代音ゲーらしい明るめのイメージがメインだったおひるね音楽部が、突然お出ししてきた「終末」コンセプトのアルバム。
聴けば確かにこのサークルらしい突き抜けたクオリティの作品だということはわかるのだが、
それにしても希望などどこにもないような陰鬱な曲や自暴自棄なほどにカラフルな曲が詰まっており、過去作を知っていれば知っているほど温度差に困惑することになるだろう。
6者それぞれの思い描くこの世の終わりは?少なくとも共通する感情は1個だけあるようだ。

○Readiness Records - ENDGAZER
文明が崩壊した世界を舞台にした、シイザカサユリのメディアミックス作品。
CD内のQRコードから中編のバックストーリーが読め、またそのプロットを再構成した上で収録曲が作られている。
実質終わってしまった世界でもなお生きている、生きてしまっている人間たちの、それでもあきらめられない心情。
バックストーリーを読む前後で味わいが変わる作品というのはこれまでも何作品かあったが、この作品についてはぜひとも先にバックストーリーを読み切ってから視聴してほしい。

□偽りの世界 - エルナの魔法のパン屋さん!!
rein jackの個人サークル偽りの世界による、異世界でパン屋を営む少女をモチーフにしたコンピアルバム。
元々の参加者募集の時は「ファンタジー世界のパンそのものをモチーフにした楽曲」を募集していたような記憶があり、
このあたり実際集まった楽曲を踏まえて設定が再構築されたのかもしれない。
前半は異世界でパン屋っていえばまあこうだよな、という音だが、中盤から様子がおかしくなっていき、最終的には名状しがたきなにかが降臨する。
パン屋が世界を救いに行くのもまあファンタジーらしいといえばらしいのかもしれないが、知らずに聴くとちょっと面食らうかもしれない。

○桃花音 - ふしぎがる
VsingerみちとせのEPというか本というか、曲の聴けるゲームブックというか。
歌詞カードを兼ねた本は全体的に実写写真の素材+氏を描いた素朴な絵という構成で、Vsingerが実写風景に混ざっているのは変な光景で、
でも氏の姿はきわめて日常的で、しかし写真の風景と努めて混ざってやらないぞという意志も感じる絵柄で、意図して違和感が作られた幻想的な構成。
それに合わせてか、DLして聴ける4曲も日常とも非日常ともとれる構造をしていた。タイトル通り不思議ガール。
本に仕込まれた謎解きをやるとちょっとしたおまけが見られるようになっている。
自分は2問めが一切回答できず(後述の答えを見る限り1問めも間違えていたらしい)、ヒントでも何もわからなかったので結局答えを見たのだが、
その答えがおまけを見るための最後の答え合わせしか乗っておらず、 各問題は何がどうだったのか今でもよくわからないのはちょっと不親切に感じた。

◎5/9聴取分

○棗いつき - mimic
ボーカリスト棗いつきの作品。最近実写と2Dのビジュアルを合わせ込む試みをやっていたのでそれのお披露目会なのかもしれない。
現実が創作を真似る、ないし創作が現実を真似るからmimic。
今回はストーリー主導ではなく普通のボーカルアルバムという趣。(実際毎回SS書き下ろしてたら手間すごいだろうし、たまにくらいでいいのかもしれない)
ここ最近のストーリー性の強さに引きずられたエッジな曲はほぼなく、どちらかというと氏がまだ企業所属じゃなかった頃に、 氏の個人サークル以外でゲスト歌唱してた楽曲のような雰囲気を感じた。
具体的にはシティポップに舵を振り切る前のRoom97での歌唱曲みたいな。

◇EXABIT RECORDS - Rapid Music Writing 5
(筆者参加曲 : ナイラー - biastechnologist)
主催teraoの生活都合での休止期間が明け、再始動したEXABIT RECORDSにて開かれたRTAコンピ5作目。
特にテーマとかがあったわけではないが、全体的にオールドスクールなエレクトロが多めに集まった。
製作上の時間的制約に対してみんな音場が作り込まれており、本当に急ぎで作れるものを出してしまった筆者はやや恥ずかしさがある。

□ねこぜなおとこ - おくすり手帳
いつも攻めた形態の作品をリリースしているねこぜなおとこの新作で、今回は「実際に使える」おくすり手帳の形をしている。
(昔COGENってゲームのサントラについてたおくすり手帳使おうとしたことあるんだけど、定形外で拒否されたことあるんだよな……と自分語り)
そういう形態だからナースロボ_タイプTをメインボーカルに据えた曲が多め。
一方で、おくすりどころじゃないシニカルな歌詞の曲も多めで、結構腰を据えて聴きたいところ。
また、手帳本体にも若干の謎解き要素が仕込んであり、それに気づければ数曲ボーナストラックが聴ける。
そこまで難しいものではないので、多少集中力があれば何とかなるはずだ。

□Fenrir records - 彷徨のソルシエール
近年架空の○○○ゲームをシリーズ的にやっているFenrir records。
今回はアトリエ的なJRPGを意識した作品になっている。
常に使命に向かっているタイプではなくスローライフの中で依頼をこなしているタイプのストーリーを感じさせる曲で、
おそらく拠点BGMっぽいもののチルい空気感が何か心に残る感じだった。

◎5/10聴取分

□GartH Aesthetics - Masterpiece 07
「最高傑作」をテーマとした連作コンピアルバムの7作目。もう4年目だ。
今回はギターインストが多めの感じ。
サークルの正メンバーは合計10作も「最高傑作」を作らないといけないので、毎回手を変え品を変え、 そのたびにハイクオリティなものを出してくる精力には脱帽だ。
また毎回違うゲストのチョイスも絶妙で、今回も作品全体の雰囲気に良いスパイスとなっている。

○Protocol OGMA - OGMA 001
近年「フリーフォーム」というハードコアの1ジャンルを扱っていた大手レーベルStamina Recordsが活動休止したのだが、
それでフリーフォームが供給される場がなくなることを危惧して企画されたフリーフォームコンピの第一弾。
のっけからFracus & Darwinコンビの曲だったり、他にもクラブユースなハードコアコンピでよく見る名前が複数あったり、
商業並みの本気の熱量がうかがえる。続編が楽しみ。

あとがき

いかがだっただろうか。
これらの入手物は私自身の趣味趣向・および衝動が多分に反映されたラインナップなので、特定のジャンルや界隈への偏りは多分にあると思われるが、
拙文が読者の皆様のこれからの同人音楽ディグの手助けとなれば筆者としては幸いである。

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