M3-2025春 入手物感想
これはなに?
このページは、2025/4/27のM3-2025春に参加して、後に各種SNSで入手した物の感想を書いていたのを、体裁だけこのページ用にまとめて再掲したものです。
以下のセクションから文体が大きく変わりますが、文章そのものは元の感想文の最終バージョン(2024/11/17)から手を加えていません。
下記で繰り返す通り推敲不十分なところは多いですが、あらかじめご容赦ください。
また、文責はナイラーにありますが、これはサークル「アルミビジョン」の人間としてではなく、一リスナーとしての率直な感想を書いたものです。
少なくとも自らの利益のため他者を貶める目的で書いたのではないということ、ご理解頂いた上でご覧ください。
序文
この文章群は、私ナイラーが2025/4/27の春M3で入手した楽曲/作品の感想を殴り書きしたものである。当然ながら私の主観や忖度が多分に入っていることを念頭にお読みいただきたい。
あわせて、文章の書き方の都合文中に出てくる人物や団体の名前には敬称はつけていない。
また他作業の合間に書き進めているものなので、文体統一や推敲など不十分になることが予想される。読む前にあらかじめこれらをご了承いただきたく思う。
前回のM3に引き続き、今回も入手物を聴いた感想を書いていこうと思う。
実際に聴き始める前(4/29午前時点)に先にイベント全体の感想を書いておくと、
一般で参加しだしたのは2017年秋で、2022年秋からサークル参加側に廻るようになったのだが、
その都合で回遊時間が短くなっていて、どうにも知り合い+追い続けているサークルになりがちで新規発掘ができてないな……という後悔が少しある。
特に今回私は厳密には新譜を出せていないので、そうなりそうな回は事前察知できるなら一般参加でまるごと発掘に回した方がいいのかなと思った。事前察知できるならば、だが。
また、過去にとあるサークル(名は伏せる)がとある来訪者からの心無い発言に対して「委託で買えばいいやなんて言われるくらいなら委託しない」と苦言しており、コロナ禍時期の非常事態を除けば私も同意見だったのだが、
今回おそらくサークル数も来場者数も体感で最大となっており、所謂「壁配置」では最初から最後まで待ち時間が1時間を超えてそうな長蛇の列となっていたサークルもあった。
例えば目当ての2~3サークルだけ回って帰るスタイルの人もいるので、それならあえてちゃんと現地で買いに行くというのは大いにアリだと思うが、
私は会場全体を回って気になったものを買いまくるスタイルの人間なので、各方面への多大な失礼を承知でそこの意見を折る必要があるのかもしれないと感じた。
なにせ一般で行ったとしても、時間は5時間しかないのだ。
私自身もかなり偏った音楽の趣味をしているのでディスクガイドの類として機能するかは微妙なところだが、 あなたが新たな世界を開く一助となれば幸いである。
凡例
以下、各作品は次のような凡例で記号を付けている。○通常の作品
□筆者とこのM3以前に明確な接点がある人の作品
◇筆者が参加している作品
各作品の感想
◎2025/4/29聴取分
○Scene From Gore Girls - シアターブルーEP
前回に引き続き、宮舞モカをボーカルに据えたポップス系EP。
V1版とV2版の歌い方の差はあんまり把握できていないが、前作がV1版発売1~2週間で製作されたことを考えると、今作もおそらく同様のスケジュール感でV2を使ったのだろうか。
エンジンを問わず合成音声ボーカルは「がなり声」の表現が非常に苦手という認識があるのだが、
それをひっくり返すかの如く、前半2曲はまさに絶唱といった趣のサウンド。
後半2曲も前作ではやっていなかった、ボーカリストとして捉えた宮舞モカのまた違った表現力を提示している曲だった。
○月燈舎 - Prologos
今回新規開拓で訪問したサークルの作品。所謂創作ファンタジー系の楽曲である。
ブックレットには架空の世界の地図が記載されており、その地図に記載されている地名4つがそのまま曲名になっている。
インスト部分も各曲で大きくサウンドが転換されているが、一方歌詞を見るとその視点は4曲とも同一人物のように思えた。
となるとこれは旅の記録なのだろうか。今回他の作品を購入してないので単体では不明だが、前後に話がつながる作品があるのかもしれない。
□Readiness Records×Fenrir Records - Midnight Bar Fenrir
今回は2サークル合同参加の作品で、豪華なボーカルメンバーを迎え、
Fenrir Recordsの前作「Weekend Cafe」の飲食店イメージを引き継ぎ、バーをイメージした歌モノが収録されたEPとなっている。
こう書くと全体的にジャジーなものを予想するが、普通にギターポップやボサノバなども入っていた。
どちらかというと包括的に「夜」なのだろうか。眠れない……というよりは眠ってはいけない夜によく合うかもしれない。
□ハードテック赤ずきん - Project「ANIMA」EP
元々はAPOLLOかMusicVKetあたりのWebイベントに合わせてDL頒布されたデジタルEPで、
今回Urtica_Ferox_氏がM3初参戦するのにあたって物理化されたもの。
サークル名義ではハード系ジャンルをメインとしているが、他サークルに外部参加しているときの氏は、
古今東西色々なジャンルを作り込んでくる、いうなれば音の俊英だ。
このEPの4曲を一聴しただけでも、氏がサークル名通りのハードテックだけに収まらないのがわかると思う。
◎2025/4/30聴取分
○up lug recordings - Loop Backroad vol.1
energy nightというBMSで有名なKAHが、珍しく「配信用BGM集」として出したもの。
その意図通り、短い2ループくらいの小品集といった性格が強い。
Tr.3あたりは雑談BGMで使えそうだが、他の曲は元々レイヴ系の作風を得意とする氏の癖なのか、
BGMにしてはかなり主張の強いサウンドになっている。むしろキルシーン集的なゲーム動画のほうがマッチしているかも。
□おいでませ、マンダーランド - Hyper MaNDAR∀ Music World
MaNDAR∀による大分正気を失った楽曲を集めたEP。元々はアルバムになる予定だったらしいが製作中に狂気が底をついてしまったのだろうか……
前回のDoux Momentの時に「いつもと違って~」みたいなことを書いてたのを覚えている方もいるかもしれないが、
今回の作品はその「いつも」に近い、ハードかつメロディ薄めのジャンルを独自解釈でまとめ上げたものとなっている。
Tr.3のハードテクノが白眉。
○gekko - lace meter
元々M3の少し前に同人音楽と違う理由で「ハードグルーヴ」というジャンルのことが気になっており、
回遊中にサークルスペースの軒先でその文字を見つけて即買いしたもの。
今の同人界隈だと「ハードテクノ」ってシュランツの別名みたいな扱いを受けがちだが、
そうでないゼロ年代初期のトライバルな要素が強かったころのハードテクノが収録されている。
具体的にハードグルーヴらしいのはTr.5だろうか。
◎2025/5/1聴取分
○フーリンキャットマーク - LIQUID
激動の2024年を経て、直近はワンマンライブも敢行するなど、ますますパワフルに活動を続けているフーリンキャットマークのオリジナル新作。
アルバムタイトル通り「液体」をモチーフとしている。過去作「よこぬまくん」の時間モチーフ同様、結構緩い共通点でコンセプトとまではいかない。
例えば「雨」「喫茶店」「猫(※そういうミーム)」と、各曲テーマに合わせてアレンジは寄せてあるが、完全に共通した音があるか、と言われると渋谷系要素くらいになっている。
あくまでアキシブ系であることが第一というのがフーリンキャットマーク流、だろうか。
個人的には久々に谷高マークがボーカルを取ったTr.5が好き。
○gekko - stravinskyy
ハードグルーヴ目的で購入したgekkoのEP2つめ。
とにかくリズム構築が上手い、と思った。曲がりなりにも曲を作る側として「ちゃんとテンポの浮いてくるパーカッションの乗せ方」が難しいのは承知しているつもりだが、
それをパーカッションの手数が多いハードグルーヴというジャンルで実現できているのは流石としか言いようがない。
クロマチックな音も実際には最低限(ベース程度)しか鳴っていないはずなのにかなりメロディックに感じるのも良くて、ただただ脱帽する限りだった。
□Wavebird Recordings - Hyper Ascension
ここ一か月ほどで各方面で大躍進を遂げたMiYAjYの新作。デカくなりやがって……(後方腕組彼氏面)
今回はCD媒体としては久々にトランスメインの作品集となっている。
トランスは大雑把に分けるとゴア/サイケ系とユーロ/ダッチ系があり、筆者も一応は両方作れはするが、
両方を「ちゃんと」作れるコンポーザーとなると実は結構数が少ない。
この作品を通して聴けば、彼がその数少ない一人で、その2系統のトランスを反復横跳びしたり融合させたりと多彩な聴かせ方ができるのがわかるはずだ。
○フーリンキャットマーク - 真夏のチェリーブロッサム
M3合わせの東方アレンジアルバムという、フーリンキャットマークにしては珍しい作品。
普段は例大祭や紅楼夢など東方オンリーに合わせてリリースすることが多いので、それ自体がちょっと意外なところがあった。
過去のシングル再録も含め、ダンマクカグラをはじめとした近年の音ゲー提供曲をメインに収録している。
そういう理由もあるのか、初聴き時点の感想は「東方アレンジに寄った?」であった。
いや東方アレンジに何言ってるんだよという話だが、フーリンキャットマークの東方アレンジは意図的に原曲シチュエーションから外した作詞をする傾向があって、
そのつもりでTr.1を聴いてド直球に「白玉楼」という固有名詞が出てきたことに驚いてしまった。
今後はそういう方向に切り替えますよ、という宣言なのかもしれない、この作品は。
◎2025/5/2聴取分
□ècru - ècru
コンポーザーHmt2とVsingerシマナガエナが最近結成した音楽ユニット「ècru」が早速リリースした作品。
過去のHmt2個人、ないしフィーチャリング作品では結構好きな事をやりまくっていた(故にインスト曲とボーカル曲が同じ扱いかつ同じ比重だった)印象があるが、
一人のボーカルと組んで今後じっくりやっていくからか、かなりボーカルに寄り添った印象を受けた。
ただし「だからジャンルが偏る」というわけではなく、「シマナガエナのボーカルでなければ成立しない楽曲」ではあるが3曲ともやっていることは大きく異なる。
このあたり昔からバランス感覚が絶妙で信頼している。
◎2025/5/3聴取分
○projectLEQUIRA - Colour Pop
特定の音色に後付けでコード感を付加する、いわゆるカラー系の音色に注目したコンピレーション。
ただしカラーベースそのものをやっているわけではなく、エレポップやトランスなどに付加要素として足す形の曲が収録されている。
元々音数の多い音ゲーハイテックあたりにはよくなじむ感じで使われていて「これいいなあ」と思ったが、
逆にバラードにSE的に混ざっているのは申し訳ないがちょっと喰い足りないかな、という気持ちもあった。
カラー要素を混ぜられそうなジャンルを片っ端からカラー化していくという発想は面白いので、今後も続けてほしさがある。
○CYBERSPACE - WELCOME TO THE UNDERGROUND
「VTuber×ハードスタイル」を標榜したアルバム。(実際ブースに立ってた方のうち一人はVTuberだったらしい)
……作者には非常に申し訳ない厳しい言い方にはなってしまうのだが、
ハードスタイルのトラック部分は非常に良いが、その上に乗っている合成音声(おそらくV3巡音ルカ?)の英語歌唱が大分妙な事になっていて、そちらばかり気になってしまった。
こんなところで何か書いても作者に届かない気はするが、もし使っているのがV3巡音ルカの英語歌唱で本当に合っているのなら、
自分で歌って聴こえるものをひらがなで音写して、それをボーカロイドエディター上に日本語扱いで打ち込んでいったほうがむしろ「カタカナ英語」感は薄れるので、
もし余力があれば今回のCDの曲のどれかで一度試してみてほしいな、と思った。
○テクノ同好会 - COMPILATION OF TECHNOBOO VER2
今回売り子をお願いした人物の関係者から挨拶で頂いたもの。
東京工科大学のDJ/DTM系サークルの部員のコンピレーションである。(学生時代に音楽仲間がいるってうらやましいよね……)
Tr.1のUKガラージの出音がとても良くて驚いた。この一曲だけで「これ無料頒布(※もともとそうだったらしい)でいいの???」という気持ちになった。
他4曲についてもジャンルこそ一致しないが高クオリティにまとまっており、才気を感じた。
□GartH Aesthetics - Masterpiece 04
10回分セット持ってたのに前回M3の時失くしてた……というわけで今回発掘して聴取した前回M3ぶん。
諸事情で今回のM3から使用が微妙に変わった(はず)なので、旧版で10回分持ってるのってなかなかレアなのではなかろうか。
masterpiece=最高傑作の名の下、サークルメンバー+たまに外部メンバーで磨き上げた曲を集めたコンピで、
各回ごとのテーマとかはおそらくないらしく、故にその時の全力を毎回味わうことができる。
筆者も強くおすすめするシリーズだ。
□GartH Aesthetics - Masterpiece 05
というコンセプトなので、連続して2作聴くと後の方が文章書きづらいかなと思ったが、
偶然にも今回はサークル外の人物も含め、筆者が認識している各人の「専攻ジャンル」とずらした曲を作っている人が多く、
だとしてもmasterpieceという単語にふさわしい作り込まれた楽曲が多いため、意外さと新鮮さを感じながら聴くことができた。
◎2025/5/4聴取分
□jeRRyGhostFish - Dear JewelBox
jeRRyGhostFishはもともと某Discordサーバーでイラストレーターとして知り合った人物なのだが、なんかアルバムを出していた。
私の知り合いそのパターン(視覚方面の創作者が急にDTMに興味を持ってまとまった作品出すパターン)結構多くないか……?
それはさておき、氏が元々好みといっていた80年代サウンド、ジャンルで言うと所謂「シンセウェーブ」や「アウトランサウンド」あたりを集めたアルバムである。
筆者がそのあたりのジャンルを作るとどうしても薄暗い方向に寄りがちなのだが、各曲で印象的なFMベルの音を聴いていると、
そうだそうだこういう透明感あるジャンルでもあったんだ、ということを思い出させてくれた。
□ねこぜなおとこ - 履歴書
またすごい装丁の作品を出してくれた。
タイトルの通り、あまりにも確度が高い履歴書の形で頒布されたアルバムである。なんか送り状と予備の証明写真まで入ってる。
2号封筒に入っていないのがちょっと惜しいが中身見えないのはそれはそれで問題なので仕方ないだろう。
収録内容自体は一部新曲+最近のイベントのこれまたすごい装丁のEP(豆本アルバム1作と塗り絵2作)からの再録。
結構音に調整が入っているので、すでにそれらを持っている人も新鮮な気持ちで聴けるだろう。
□Xiba insanity - INSANITY
BMS作家Xibaの別名義Xiba insanityのアルバム。
普段の本名義だとわかりやすくポップな曲であったり、わかりにくい方向でもフォークトロニカ~ボタニカあたりの優しい曲のイメージなのだが、
insanity=狂気の名の通り、内省的な方面に静かな曲であったり、逆にブレイクコアじみた荒々しい曲であったり。
そんなアルバムのラストトラックの名義が本名義との融合ないし溶解を示唆しているのは、この名義は終わりだということなのか、それとも―――?
□外柿山 - 昭和百年奉祝合同
オケ曲が書ける人たちのコンピというかスプリットアルバムというか。M3では意外に少ない方向性の作品だと思う。
記憶が正しければ収録曲のほとんどはDTMの前に楽譜を書き起こしてから製作されていて、確か収録曲の楽譜コピーも一緒に頒布されていた。はず。
最初の3トラックに渡って収録されている交響曲は今年で昭和元年から通算100年になることをテーマとしていて、
それを踏まえて聴くと、確かに当時の「自分たちが先端を走っていると信じていた日本人」の2つに分かれた感情が重なる2フレーズとして聴こえるようではある。
残念ながら筆者はクラシックの文脈を持たない人間なので、たぶん存在するであろう技法まで踏み込んだ「昭和の日本オーケストラ楽曲らしさ」まではわからなかった。
そのあたりはわかる人の解説であるとか本人の解説であるとかに任せたい。
他のトラックについてはどちらかというと雅楽の領域の小品か。Tr.8はTr.3を新作雅楽としてアレンジしたもので、そういう意味でも貴重。
◎2025/5/5聴取分
□Nekoribo - Untitled Concert Act.1
2連続でオーケストラもの。
こちらはDTMとしてのオーケストラに重点が置いてある。モンスターハンターとかダークソウルとかのBGMを想像してもらえるとわかりよいか。
ストリングスがトゥッティになってリズムを刻んでるインスト、嫌いな人いないでしょ?
□C-GOD - SURUMEIKA NIGHTCLUB
Nyak0SamaとKumaminのスプリットシングル。
どうしてこのタイトルがついたのかは不明だが、収録曲を聴いていると、
同時に頒布されていた怪盗コンピのアウトテイクなのかな?と思うような、ジャジーなテクノ~エレクトロスウィングの系統の楽曲が多く収録されていた。
今季は諸事情でエレクトロスウィング界隈のサークル出展数が普段より少なかったので、そういう意味では普通にM3で頒布されたあたりかなり貴重な1枚かもしれない。
○LYRICFLASK - CONTRAIL
いつものLYRICFLASKの作品のような「ショートストーリーを音で肉付けしたコンセプトアルバム」というよりは、
企業シンガー棗いつきのワークスベストという趣のミニアルバム。
ちょっと記憶あやふやだが、確か頭3曲はリアルライブ用の書き下ろし曲(→会場限定シングル)で、
他も過去作の製作途中の時期にいきなりMV付きで投稿された「特にアルバムと関係ない曲」だった……と思う。
そんな感じで各曲が実質単発作品だった都合、作家陣もいつもと比べて非常に豪華ではある。
豪華ではあるのだが、思ったよりショートストーリーの存在って強くて今作は完全に流し聴きになってしまったのも正直に告白せねばならないところだろうか。
(「戦犯ネコ」を軸にして7曲強引にまとめたりできてたら……いやライブビデオ出したしそっちとの矛盾とか考えると無理か……)
○桃花音 - EmotioRise!
Vsingerみちとせの1stアルバム。
氏には前回M3くらいから筆者がM3関連の何ぞやをX上でポストするたびにいいねをもらったりリポストしてもらったりして続けていて、
逆にこちらからフォローくらいしか返してないのなんか申し訳ないな……と思って挨拶ついでに購入させていただいたもの。
収録曲はだいたいアニソンっぽいブラスロックなのだが(好きになったのはむしろ異色なTr.06だったりもする)、
氏の歌声を聴いてると、「この感じなら速度遅めのアキシブ系とか合いそうなのでは?」と思ったり。
色々な曲調に挑戦していろんな側面を見せてほしいなと思った。
○Endorfin. - Dream Blue
ターンテーブル奏者もとい作曲家sky_deltaとボーカル藍月なくるのユニットEndorfin.。
このユニットが新譜を出すたびにいつも言っていることだが、ただの「sky_delta feat. 藍月なくる」をやっているときと明らかにサウンドが違うのがすごいこと。
この名義の時は徹底的に透明感を前面に押し出している。そんな感じがする。
前回でColourシリーズが一通り完結して、Horizon Claireぶりに2度目の原点回帰をした印象。
ただ今回は曲や歌詞にちりばめられた透明感の裏に透明故に「何もかも素通りしてしまうような虚無」を感じる部分もあった。
あの頃そのものに戻れないということか。(誰目線?)気のせいであればいいのだが。
◎2025/5/6聴取分
□電力発電所 - XD
BMS作家Xibaのサークル「電力発電所」の活動10周年を記念したベストアルバム。
ディスク1は過去アルバムからのベスト選曲+新曲、ディスク2はその選曲でのリミックスという構成になっている。
氏の単独過去作品は恥ずかしながら「SPACEWARD」くらいしか把握していないのだが(BMSとその他の音ゲーシミュって意外と距離があるのだ)、
それでエレクトロニカ系の人というイメージがついていたので、作るものの幅が相当広いのは意外さがあった。
元を知らないので筆者は判断がつかないが、ベスト選曲の部分は全曲ほぼゼロから作り直したようなので、ご存じの方には新発見があるかもしれない。
ディスク2はそれらをBMS界隈のビッグネームやサークルとしての近しい人物がリミックスしたもの。元々バラエティに富んだ作風をリミックスでさらに拡げている。
原曲と、どころかリミックス同士でもほぼジャンルが被っていない。狙ってやっているのだと思うがこれもすごい。
□月面終末観測所 - Multiverse Observer
FullMoonのサークル「月面終末観測所」の活動5周年を記念して、
過去に開催したコンピアルバムの縛り要素(「フリー音源のみを使用」「特定UTAU音源の歌唱」「特定の英単語帳の語彙をかならずタイトルに関する」)をつけた新曲を集めたアルバム。
過去作を全く知らないと一聴して何のことかわかりにくいかとは思うが、このサークルのコンピにいつも参加しているような面々が曲を作っているので、
そのあたりの文脈は無視して聞いても問題ない良いアルバムではある。
また、このアルバムは空のCDで頒布されており、ダウンロードした楽曲データを自分で焼くことで完成させるギミックが仕込まれている。
ちゃんと全曲を焼いてもいいし、好きな1曲だけ20トラック分焼いてもいい。それが宇宙波を観測する、ということだ。
□Hexatropica. - Transient Blue
サークルメンバーtsukiの写真趣味が高じて製作された、EPと写真集とイラストレーションが合体したブックレット作品。
「架空の少女を撮りためた、写真を自前で現像して挟んだ(写真の方の)アルバム」という体で展開されている。
少女の写真1枚に対して1曲があてがわれていて、過去作「エルゴノーツ」の水深が浅い側の曲を思わせる爽快感のある曲調で記憶が描かれている。
初回は是非ともブックレットを開きながら聴いてほしい。作品の解像度が違ってくるはずだ。
□CLOCKWORK SQUARE - クロワーラジオ
ねこぜのおとこの旧サークル(という認識でいいのだろうか)の作品をおまけとしていただいたもの。
作品名通り、コンピレーションアルバムとして12トラックあるところの前後にラジオ風のドラマパートが付け足されている。
単純にラジオっぽい語りであったり、ライナーノートになっていたり、
ある意味音声の形で作品を全て完結させているともいえるか。
□Nekoribo - ChronoBurst
Nekoriboの2ndアルバム。
オーケストラコンピとうってかわって、極めて音ゲー的な超高速トラックが詰め合わせられている。
メロディセンスもそうだし、ここまで音を足してもごちゃっとしない音の足し引きにまつわるセンスが流石だなと感じた。
これを真似ろ、と今言われて筆者はできる気はしない。
○Hype & Love - Khronostasis & Katharsis
各種商業音ゲーで名を轟かせているHalvのアルバム。
文字通りインターリュードだった前作「魔法世界とインターリュード」では所属サークル「音ゲー同好会(現:おひるね音楽部)」からのリリースだったが、
今作は個人サークル「Hype&Love」を立ち上げてのリリースとなった。
音ゲー収録曲の再録こそいくらか存在するが、それらもひっくるめて基本的には前作を踏襲して、
音ゲーのボス曲っぽいテイストで魔術・ファンタジーといったもののある世界を表現したものになっている。
特に何かテキストで補足情報があるわけではないが、世界観をつかみ取れる作りになっている。音でストーリーテリングする上でのお手本のような作品だ。
○化里の瓜苗 - 化里歌妖祭〜宵宮ノ一幕〜
サークルブースがすさまじいというか……異様にもふもふしていたので一本釣りされて購入した物。
そのブースやジャケットやそもそもサークル名が示す通り、妖怪テーマの和風な曲が固められたEP。
雰囲気を統一していたのはよかった。
□月面終末観測所 - ORiGiN REGRESSiON vol.3
フリー音源縛りコンピの最終作、出てからしばらく予算オーバーだったり記憶が飛んだりして変えてなかったのだが、
今回余裕があったのでようやく入手できた。
最近筆者がちょうどMSGS縛りとかやってたのであまりフリー音源縛りという点自体に強い感情はないのだが、
それでも使える道具が制限されたときの「何ができるから何をやるべきか?」というミニマルな発想は、
1曲の密度を向上させるための起爆剤として強く機能してくれるなということは感じる。
◎2025/5/7聴取分
○Dualside - impressesky IV
知り合いが楽曲参加していたので購入した、「リキッドファンク」という一種のドラムンベースを集めたコンピレーション。
元々爽快感・透明感の高いサブジャンルなのと、過去作ジャケットからの類推だがおそらく春の空をテーマにしているのもあって、
スピードはありながらひたすら「浸れる」アルバムになっている。
◎2025/5/10聴取分
◇OX-project - Limit Breaker XXI - 飛び出せ!ぼくらの新時代
M3名物、会場焼きコンピの21回目。
今回半年前にテーマが告知されていたのもあってか、参加者がみんな大暴れ。結果として90曲近い楽曲が集まった超大規模コンピとなった。
またテーマに合わせつつも実験的なことをやったり、同人コンピ初参加の人物からとんでもないクオリティの楽曲が投げ込まれてきたり、
「敷居の低さ」がかなり上手く機能していたと思う。
◎2025/5/11聴取分
□月面終末観測所 - ULTIMATE CHAOS BOX
なんですかこれは。
月面終末観測所の公式Discordで狂っている人たちの狂気をそのまま印刷した同人誌と、それからDLできる様子のおかしいコンピレーションアルバムの組み合わせ。
そもそもチャットのスクショがそのまま刷られてるのですべてを察してほしいが、普通に物書きやってる人の普通なショートストーリーがあったかと思うと急に一種のピクトロジックパズルが始まったり、楽曲投稿フォームの異常な雑記が晒されたり、冊子の大体7割(約50P)が旅行記でつぶされたりしている。
アルバムのほうも既存曲の音を全部オケヒに差し替えたものだったり、ひたすらくぐもった爆音を叩きつけられたり、突然20分近いボイスドラマが始まったりとよりどりみどり。
皆さん、これが月面終末観測所です。
◎2025/5/17聴取分
◇深夜の2時間DTM - 「四季」-めぐる季節のHarmony-
Twitter(現X)上で断続的に開催されている企画「深夜の2時間DTM」が10周年を迎えたことを記念した、4枚組の超大型コンピレーションアルバム。
実物を見た時はそもそも同人ベースで4枚組のあのでかいジュエルケースを見ることがあるのだと驚いてしまった。
私は正直元企画の方に4~5回しか参加経験ないのに参加してしまってるのが若干お恥ずかしいのだが、
他の参加者はもともと2時間DTMで慣らしている人たちだけあって、時間の制約が減った代わりに課された厳しい縛りをものともせず、
素晴らしい楽曲を聴かせてくれた。
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◎諸事情で聴けなかったもの+おまけ
□GartH Aesthetics - 海鳴
GartH Aestheticsの発起人の一人、Vanillinの2ndアルバム。
……なのだがこのアルバム、Web上での謎解きを進めないと最初の2曲しか聴けない仕様になっており、
筆者は見事にそこで1か月詰まってしまったのでこの枠に入れることとした。
謎解き、ストーリーテリング、楽曲ともに怪奇創作サイトRPC AuthorityやRemedy EntertainmentのゲームCONTROLのような世界観を持っており、
あわせて頒布形態もかなり「極秘研究機関」しているので、そういう意味でも手元に置いておきたくなる作品だ。
○藍月なくる - わたしとキミの幸せな終末
冒頭に記した長蛇の列の件でM3当日には購入できず、翌日メロンブックスで購入した物。
近年企業所属ボーカルの色が強くなってきた藍月なくるが久々に出したコンセプトアルバムである。
……であるのだが、ちょっと筆者の中で消化しきれていない部分があって、
ゲスト参加の面々も相まって、意図をもったコンセプトアルバムというより、どうにもTRPGのセッションBGM集に聴こえるきらいがある。
筆者は小説部分買えず、そちら未読の状態で聴いたので、小説の情報が頭に入ればまた受け取り方は変わるのだろうか。